グラビアアイドルアプリ一斉削除に感じるAppleの展開戦略

iPhone Developerのひとりとしては「怖ぇええ」が先にきてしまいそうにはなるけれども、それでも僕は、Appleはそれなりに適切な判断を下したのではないかと考えている。暴挙だとか、横暴だとか、基準が分からないことに対する萎縮効果であるとか、いろいろマイナス要因は指摘されているけれども、それこそがAppleの戦略だと考えるべきだ。そのメッセージはこうである。Appleのようなクールでスタイリッシュな製品に掲載するには後ろめたさを感じるようなコンテンツのホルダーは、どうぞご退場ください。

Appleは、iPhoneで世界を鎮圧しようなどとは考えていない。Google Androidは恐らく今後、iPhone OSよりも大きな市場になるだろう。あのWindows 95戦争のときと違うのは、今はAppleは音楽市場を制した巨大なメディア企業でもあるということだ。そして次は、電子書籍市場をその射程におさめつつある。それで十分に今後成長が見込める。

オープンプラットフォームに対する戦略として有効なのは、そこに魅力的なコンテンツを維持し続けることである。ファッションに喩えると分かりやすい。Androidがユニクロだとしたら、Appleが狙っているのはZARAとか、少し上だけれども一般向け、くらいの層だ。App Storeは全てのコンテンツホルダーのためのオープンプラットフォームではない。Appleのブランドイメージの射程に合致する優良コンテンツを保持するホルダーのための選ばれたプラットフォームである。

となれば、長期的には多少高くても顧客が支払おうと思うアプリを作り続けられる実力、体力、センスを持ったコンテンツホルダーを育て、選別していったほうがいい。センスを持った開発者であれば、不当に値段を下げることもないし、たとえ短期的に下げたとしても生き残るだろう。低価格競争でまず最初に淘汰されていくのは、実はコンテンツ制作能力の低いデベロッパーである。

これは顧客にとってもメリットがある。アプリを購入するという経験に慣れるためのコストは、最初は低い方が良い。長期的にはアプリの単価は上がっていくだろうが、その頃には優良なコンテンツの提供者の割合は劇的に増しているだろうし、安心してお金を払うだろう。

そして、そうした時に最も収益性の高いアプリだと彼らが考えているコンセプトのひとつが、iPad登場時にJobsが示した「Liberal Arts」というキーワードなのだろう。スタイリッシュでクールでリベラルなアプリを出すためには教養が必要であり、ウィットに富んだ深い知性と洞察力が必要になる。だからもしこの市場で残りたいのであれば、何が売れるかではなく、何がユーザを、スマートで、クールな方向に導くかを考え続けることだ。iPhone市場では結果的にそれが勝ち残る唯一の方針であると僕は思う。

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2件のコメント

  1. センスを持ったデベロッパが、バカをやれる場があっても良いのでは?

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